会社員が書く雑記

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30歳を目前にして初めてライブに行ったよ(UNISON SQUARE GARDEN)

 私はこれまでライブに行ったことがなかった。
 思春期の頃から長いことメンタルを崩しており、ライブ会場のような人混みは息苦しさと吐き気で倒れてしまうだろうと予想できていたため、行くことができなかった。


 それから年月が経ち、メンタルブレイクからの休職を経て、ようやく行きたい場所に行けるようになった。混雑した食べ物屋も行けるし、バスの中も平気で寝ていられる。たまに不調を感じることもあるけど、まあ一時的なものだろうと楽観的に感じられる。


 私が日頃からUNISON SQUARE GARDENを聴きまくっていると、妻がライブのチケットの抽選に応募してくれていた。これまでライブに行ったことがない私は、ライブのチケットを買うことさえ思いつくことがなかった。
 そして無事にチケットを取ることができ、昨日妻と一緒に参加してきた。
 「Bee side Sea side ~B-side Collection Album~」という名で、15周年を迎えた彼らがシングルのカップリング曲のみを演奏するという奇天烈なツアーだった。
 ファン歴もそれほど長くないので、きっと分かる曲も少ないと思い、一生懸命それらの曲が収録されたアルバムを聴き込んで臨んだ。


 会場の収容人数は1,700人ほどでそこまで広いという印象はなかった。自家用車で、余裕を持って駐車場にたどり着けた。
 事前にグッズのTシャツを手に入れていたので、パーカーの下にこっそり着ていった。何せ人生初のライブだったので、気持ちの問題である。
 暇でそわそわしながら何となくグッズの先行販売の列に並んでいたら、時間がきて先行販売が終わってしまい、そのまま開場の列と化した。
 前から4列目くらいに並んだので、開場してすぐに中に入ることができた。
 そういえばツアーのタオルを買っていなかったので、タオルを一本買った。絵柄がかわいい。


 開演が始まるまでそわそわしながら席に座って待つ。私は1階のやや後ろの方の端っこだ。それでも会場がそれほど広くないため、割とよく見えそうだった。
 少しずつ人で会場の席が埋まっていく。


 そういえば私の身近にUNISON SQUARE GARDENのファンが少なかったので「この人たちみんなUSGを聴きにきてるのか」と思い、なんだか感慨深かった。もちろんたまたま来ただけの人もいるだろうけど、大半はファンなのでしょう。嬉しい。
 席が全て埋まり、いよいよメンバーが登場しようかというとき、なぜか私は非常に緊張していた。運転中にコーヒーを一気に飲んだからだろうかとか、やっぱり人混みは無理なんだろうかとか、色んな考えが頭の中をぐるぐるし始めた。楽しみたいのだから、パニック発作なんか起きないでくれと願った。


 メンバーが登場し演奏が始まると、会場の全員が立ち上がり歓声が上がる。私も立ち上がり、生のメンバーを見ようとした。
 毎日聴いているバンドが目の前にいて、体全体を震わす音が心臓に突き刺さるように鳴った。生の音ってこんなに大きいんだ。


 なぜか緊張していた私は「こんなところで体調崩して出ていくわけにはいかない」と深呼吸をし、歌と演奏に集中した。
 本当はこんな声なんだ。本当はこんな音なんだ。本当はこんな曲なんだ。データでしか触れたことがない彼らの演奏に聞き入る。
 彼らの実際に演奏している姿もまた、憧れというよりも、やはりデータの中の存在だったものが確かに目の前にいるのは、非現実的な光景だった。本当にいたんだ、と。


 次第に私の嫌な緊張感はなくなり、目の前の光景を見逃してなるものかと、別の気持ちに変わっていった。
 彼らのライブはMCが少なく、どんどん次の曲、次の曲と演奏が続く。こちらも休む暇なく彼らに集中を続ける。
 曲が終わる毎に、次の曲への期待感と、終わりに近付く寂しさの両方を感じ始めた。まあでも、ある曲の歌詞にあるようにこの時が終わるまで先の事は考えず、ひたすら彼らと同じ空間にいることを楽しむことにした。


 あっという間の2時間だった。
 ライブが終わった後も彼らの演奏を何度も思い出しながら、妻とあれこれしゃべりながら、帰路に着く。
 これは「夢が叶った」というのだろうか。今回のライブで、私の中ではデータとしてだけの存在だった彼らを現実の存在として受け止めることとなった。
 ステージの上で、輪郭を持ち、私達のためだけに音を鳴らす彼らは、確かにそこにいたのだ。


 彼らは本当にカッコよかった。


 そして、私はずっと心のどこかで「憧れる存在」を求めていたことに気が付いた。「誰かのようになりたい」だとか全く思わないのだけど、彼らのように楽しくカッコよく真っ直ぐ生きられたらどれだけいいだろうか。
 もちろん彼らとてそればかりだとは思わないが、彼らの音楽は確かに私の脳に刻まれてしまった。
 私のようなメンタルブレイクを起こした偏屈な人間にとってこの世界はそれほど生きやすい場所ではないけれど、とにかく芯を持って生きてやろうじゃないか。


 人生初めてのライブだったので、拙い文章だがブログに書き留めておくことにした。
 ここまで読んでくれてありがとうございます。ライブ、楽しかったです。また行きます。


Bee side Sea side ~B-side Collection Album~ (通常盤) [2CD]